手荒れは美容師の天敵!原因や予防方法について

手荒れは美容師の天敵!原因や予防方法について

多くの美容師が悩む手荒れは、美容師の三大職業病の1つと言われています。

一口に手荒れといっても、その原因や症状はさまざまです。

この記事では美容師の手荒れの症状や原因、予防策を考えつつ手荒れの対処方法についてご紹介します。

ぜひ参考にして、手荒れとの上手な付き合い方を見つけてください。

手荒れに悩む美容師が多い

美容師は離職率が高いことでも知られています。

その理由はいくつかありますが、手荒れがその中の1つです。

手荒れは見た目がひどくなるだけでなく、かゆみ、さらに痛みを伴ってくると思うように手が動かせなくなってきます。

そうなると心も不安定になりかねません。

手の問題が悩みとなり、辞職を考える美容師は多くいます。

多くの美容師を悩ませる手荒れですが、じつはその症状はさまざまです。

つぎは手荒れの症状を詳しくみていきましょう。

美容師に起こる手荒れの症状

手荒れは段階的に悪化していくケースが多いです。

かゆみや赤みをはじめとし、徐々に悪化する場合や症状がでてから急激に悪化してしまう場合もあります。

手荒れの症状ごとに分け、順を追ってみていきましょう。

薬剤による皮膚炎についてもご説明します。

乾燥・かゆみ

手荒れの症状で最初に現れるのが、乾燥やそれに伴うかゆみです。

指先などに現れる軽度のカサつきから、手全体に及ぶ広範囲の中度のカサつきまで、一口に乾燥といっても症状はさまざまです。

皮がむけてくる場合もありますが、この辺りの症状はまだ初期症状といえます。

ひびわれ・あかぎれ

乾燥が続くと現れる症状に、ひび割れやあかぎれがあります。

これらの症状は指の間や指の関節に現れることが多いです。

ぱっくりと割れてしまうとお湯はもちろん、パーマ液などで施術のたびに傷口に触れ、痛みを伴ってしまいます。

ここまでくるとだいぶ手荒れは深刻になり、進行期に入ってきます。

水泡・化膿

進行期からさらに深刻化すると、指の間に水泡ができたり、ジクジクと痛みを伴った化膿症状が現れます。

化膿症状は、ひびわれなどの傷口から雑菌が侵入することで発症します。

ここまで進行してしまうと手荒れの状態は重傷期に突入し、手のひらに激しい痛みを伴う場合が多いです。

重傷期に突入すると、日常生活にも支障をきたし始め、美容師としての仕事もままならない状態になってきます。

刺激性接触皮膚炎

刺激性接触皮膚炎は、皮膚に刺激物が接触した際に起こります。

主な刺激成分は、過酸化水素やアルカリ剤です。

薬剤の刺激が強いほど皮膚へのダメージも大きくなり、誰にでも起こりえる症状です。

原因となる物質に触れた部分に赤みや腫れなどの症状が現れ、ひどいと水泡になる場合も。

敏感肌の人は特に発症しやすい傾向にあるため、注意が必要です。

アレルギー性接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎はその名の通り、アレルギーになった人だけに特異的に生じる症状です。

主に酸化染料や界面活性剤がアレルゲンになります。

とはいえ、もともとアレルギー疾患の人だけがなる訳ではありません。

皮膚のバリア機能が弱まってくると、特定の物質に突然アレルギー反応を起こす場合もあるのです。

アレルギー性接触皮膚炎はアレルギー物質に触れてすぐに症状がでる場合と、何度も触れていくうちに症状が現れる場合があり、症状の現れ方は人それぞれです。

赤く炎症を起こしポツポツと盛り上がった発疹が、じわじわと身体全体に広がります。

先述した刺激性接触皮膚炎よりも症状が長期化する場合や重症化する場合があるため、アレルギー性接触皮膚炎には少々注意が必要です。

手荒れは美容師の職業病

手荒れする人が多い美容師ですが、その原因は美容師の業務内容にあります。

水に触れる機会が多く勤務時間の長い美容師は、年代を問わず手荒れに悩まされる人が大勢いるため、手荒れは美容師の職業病といわれます。

手荒れは美容師にとって致命傷になりかねない問題です。

手荒れしやすい人の特徴と、手荒れが招く最悪の事態についてご紹介します。

手荒れしやすい人の特徴

手荒れは誰にでも起きる症状ですが、症状の現れ方は人それぞれです。

特に、手が荒れやすい人は急激に症状が悪化する場合もあるため注意する必要があります。

手荒れしやすい人の特徴を3つにまとめました。

女性のほうが手が荒れやすい

男性に比べて女性のほうが手の皮脂が少ないことが理由の1つです。

そのうえ、仕事以外の時間にも家事などで水に触れる機会が多いため、手指が乾燥しやすくなっています。

アトピー性皮膚炎の人

アトピー性皮膚炎の人は肌のバリア機能が弱まっており、水分を肌に保てず常に肌が乾燥しています。

肌が乾燥していると少しの刺激でかゆみや痛みを感じてしまい、手荒れの重症化に繋がる可能性があります。

乾燥肌の人

シャンプーなど水仕事が多い美容師の仕事は、手が乾燥しやすい環境にあることが理由です。

乾燥肌の人はもともと乾燥しやすい肌質のため、手荒れのリスクが高まります。

悪化するとドクターストップがかかることも

手荒れは悪化すると日常生活もままならなくなります。

重傷期に入ってしまうと、美容師を続けることが難しくなる場合もあるのです。

重症化した手荒れは完治するまでに長い時間がかかることや、一度悪化してしまうと治ってからも再発のリスクを背負いながら美容師を続けなければならないため、ドクターストップがでることがあるからです。

たかが手荒れといっても美容師にとっては生命線となります。

悪化してしまえば最悪の事態になりかねません。

美容師の仕事には手が荒れる多くの原因が

では、なぜ美容師は手が荒れてしまうのでしょうか。

一般的な手荒れは乾燥によるものが多いですが、美容師の手荒れには乾燥以外にも多くの原因があります。

1つずつ詳しくみていきましょう。

シャンプーなどの水仕事

シャンプーなどの水仕事は、手荒れを引き起こす大きな原因になります。

特にアシスタントのうちは、大袈裟にいえば1日中水に触れていることもあるでしょう。

また寒い季節にはお湯での作業になることも多く、より手指の皮脂を減らしてしまう原因になります。

さらに、シャンプーに含まれる洗浄成分(界面活性剤)は皮脂を大きく奪い取ってしまうので、一日に何度もシャンプーを行うとますます乾燥が進行してしまいます。

ブロー時にかかるドライヤーの熱

ドライヤーはお客様の髪の毛を乾かすだけでなく、美容師の手からもうるおいを奪い取ります。

シャンプーとお湯により皮脂が奪われた状態の手は、皮膚のバリア機能が低下している状態です。

保護機能が正常に働かないむき出しの手にドライヤーをあてれば、ダイレクトに熱のダメージが手に加わります。

水仕事後の熱風により、さらに乾燥が進んでしまうのです。

カラーやパーマで使用する薬剤

美容師はさまざまな薬剤を使用しますが、その中には手荒れを引き起こす成分も含まれています。

カラー剤とパーマ液に分けて、それぞれ手荒れを引き起こす可能性のある成分をまとめました。

カラー剤 おもな刺激物質

・チオグリコール酸類(還元剤)

・アルカリ剤(アンモニア等)

・過酸化水素水(酸化剤)

おもなアレルゲン ・チオグリコール酸アンモニウム(還元剤)

・システアミン塩酸塩(還元剤)

パーマ剤 おもな刺激物質 ・過酸化水素水(酸化剤)

・アルカリ剤

・過硫酸アンモニウム(ブリーチの酸化促進剤)

おもなアレルゲン ・パラフェニレンジアミン

・パラトルエンジアミン

・過硫酸アンモニウム

MEMO
最近では肌に優しいカラー剤やパーマ液も普及し始めています。肌に優しい薬液は刺激性は控えられていますが、アレルゲンが含まれている場合があるので注意が必要です。

生活習慣の乱れ

案外見落とされがちなのが、生活習慣の乱れです。

生活リズムの乱れや食生活の乱れで肌が荒れるのと同様に、手指も生活習慣の乱れで悪化したり改善できたりするものです。

仕事で忙しく、なかなか栄養のある食事を摂ることが難しいかもしれませんが、ビタミン類を豊富に接種することを頭において食材を選んでみてもいいかもしれません。

また、ストレスによる自律神経の乱れが一因となる場合も。

休めるときにきちんと身体をケアしてあげることも大切だと分かります。

手荒れを予防する方法はある?

美容師と手荒れは切っても切れない関係といえます。

悪化すると致命傷になりかねない手荒れ。

上手く付き合っていくには、予防策をきちんと把握しておく必要がありますよ。

それでは手荒れの予防方法についてご紹介します。

手袋を使用する

カラーやパーマをするときには、素手に薬液が付着しないように手袋を着用しましょう。

できればシャンプーのときにも着用するのが好ましいですが、手袋を着用してシャンプーをおこなうと手袋がお客様の髪の毛をつってしまったり、施術がやりにくくなるところが難点です。

シャンプーのときは、素手に近い薄い手袋を選ぶとよいですよ。

注意
ゴム手袋を長時間使用していると中で手が蒸れてしまい、皮膚がふやけて逆に手に負担をかけてしまうことがあります。
また、ゴム手袋に含まれる添加物にアレルギー反応を示してしまう場合があるため、使用する際には注意が必要です。
ポイント
手袋を使用するときは手荒れ用のものを使用する、また皮膚がふやけないようにこまめに外すなど、手に負担をかけないよう気を付けて使用しましょう。

プロテクトクリームを使用する

プロテクトクリームは本来、お客様の皮膚刺激を緩和するためのクリームであり、施術のときは顔回りや襟足部分に使用します。

ハンドクリームが肌を保湿するものである一方、プロテクトクリームは塗った場所に保護膜を形成し、肌を保護するクリームです。

プロテクトクリームは薬液からの刺激はもちろん、シャンプーのときのお湯や界面活性剤成分からも手指を保護します。

なるべくこまめに塗って、手荒れを予防するのがおすすめです。

こまめなケアが必要

手荒れの予防にはこまめなケアがとても大切です。

まずはしっかり手を洗うことを忘れてはいけません。

特にパーマ液は手に残っていることが多いため、しっかり洗い流しましょう。

つぎに、こまめに保湿クリームを使用することです。

初期症状であれば保湿クリームをこまめに塗ることで、だいぶ症状は緩和されます。

ポイントは腕部分にもきちんと保湿クリームを使用すること。

見落とされがちですが、薬液やお湯は意外と肘付近にも付着しています。

できるだけ広範囲にクリームを使用し、腕全体を保湿しましょう。

手荒れを治療するには

手が荒れてしまったら、いち早くケアすることが大切です。

手荒れの治療法は大きく分けて2通り。

ドラッグストアなどで薬を購入する方法と、皮膚科を受診する方法です。

自分でケアする方法は手軽にできるところが魅力ですが、重症期に入ると手荒れは自分だけで治療することは難しくなります。

自分の手の状態に合わせて治療法を選択することが大切です。

市販で購入できる治療薬

市販で購入できるというのは、忙しい美容師にとっては魅力的です。

実は手荒れのケアができるものは、ハンドクリームだけではありません。

いくつかご紹介しますので、好みや程度に合わせて選んでみてください。

ハンドクリームや抗生剤

手に塗る薬はハンドクリームだけではありません。

それぞれおすすめの商品を紹介しますので、参考にしてみてください。

〇ハンドクリーム
乾燥による手荒れにはハンドクリームを使用します。
ニュートロジーナ「ノルウェーフォーミュラ ディープモイスチャー ハンドクリーム 乾燥肌用 微香性」

アトリックス 「ビューティーチャージ ナイトスペリア」

ロクシタン(L’OCCITANE)「シア ハンドクリーム」

興和株式会社「ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム」

〇ステロイド配合の塗り薬
炎症がおきていてかゆみを伴う場合はステロイド配合のクリームを選ぶとよいでしょう。

田辺三菱製薬「フルコートf 」

シオノギヘルスケア 「リンデロンVs軟膏」

〇抗生剤
あかぎれなどの傷が深く、化膿している場合は抗生物質配合の軟膏を使用しましょう。

ジョンソン・エンド・ジョンソン「テラマイシンポリ軟膏 」

第一三共ヘルスケア「ベトネベートN軟膏AS」

漢方

漢方は直接手に作用するものではありませんが、血液の流れを改善することで内側から体質を改善します。

・消風散
からだのいたるところがかゆい、かゆみが強い「じんましん」などでお困りの方におすすめです。

 

・十味敗毒湯
患部がジクジクとしている「化膿性皮膚疾患」「急性湿疹」「じんましん」などでお困りの方におすすめです。

 

・温清飲
強い赤みや発疹がある、皮膚の熱感がある方におすすめです。

 

・当帰飲子
かゆみが強いものの、皮膚が乾燥し、分泌物が少ない皮膚疾患の方におすすめです。

サプリメント

じつはサプリメントでも症状の改善を促すものがあります。

こちらも漢方同様、直接手指の手荒れに作用するものではなく体質の改善に作用します。

摂取したい栄養素は以下の通りです。効果と一緒にみていきましょう。

・ビタミンA
肌の乾燥を防ぎ、粘膜の状態をすこやかに保つ効果

 

・ビタミンB
皮脂のバランスを整えて、ターンオーバーを促進する効果

 

・ビタミンE
血行を促進し、肌の回復をサポートする効果

 

・ビタミンC
抗酸化作用をもち、荒れた肌を改善する効果

 

・亜鉛
皮膚や粘膜を健康な状態に保つ効果

効果や肌の状態を考慮しつつ、参考にして選んでみてください。

症状がひどい場合は早めに皮膚科へ

症状が悪化している場合は、すぐにでも皮膚科を受診することをおすすめします。

店舗で購入できる薬は手軽に試せるメリットがある一方、判断を誤ると余計に手荒れを悪化させてしまうことも。

皮膚科で処方される薬は店舗で購入できるものもありますが、保険が適用されるので自身で買うよりも安く手に入る場合があります。

また、アレルギー性接触皮膚などの場合は血液検査などの精密検査も受けられます。

原因がわかれば対策もたてられます。

皮膚の専門家である医師に相談することが、手荒れを改善する近道かもしれません。

手荒れと上手く付き合う必要がある

美容師という職業は、手がなにより大切な商売道具です。

ところが職業柄、水や薬剤に触れる機会が多く、手荒れは避けて通れません。

たかが手荒れ、されど手荒れです。

今回ご紹介した手荒れの予防法や治療方法を参考にして、上手な手荒れとの付き合い方を見つけてください。